青くて痛くて脆いがつまらない理由はキャラの性格に感情移入できないから?

住野よるさん原作の青くて痛くて脆いが実写映画化されてから、くてくてを面白かったと評価する人とつまらなかったと評価する人がくっきりと分かれている気がします。

これだけ、賛否それぞれの感想が半々になる作品も珍しいかもしれません。

今回の記事では、くてくてをつまらないという人がよく理由に挙げている「キャラに感情移入できない」について書いていきたいと思います。

 

※物語の核心に触れる、ネタバレ要素が書かれています。

ネタバレNGな方はここでそっ閉じ頂けますと幸いです><

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青くて痛くて脆いの面白いところ

一番の見どころは何と言っても叙述トリックを使った鑑賞者へのミスリードですが、

そのことは、他の記事にも書いてしまったので、

映画版くてくての嘘!秋好が死ぬ原因と「気持ち悪い」のシーンの意味

 

今日は別のことについて書きます。

 

「くてくて」こと、青くて痛くて脆いの面白かった&良かったところといえば、タイトル通りの青春してる感でしょう。

秘密結社「モアイ」を立ち上げ活動することで、本気で世界平和実現に向けて奔走する女子と、そんな女子に恋心を抱いて暴走する男子。

いやー、、非常に青春臭いです。

 

そして、痛い。この場合の痛いは「イタイ」の方ですね。

大人になってから青春時代のことを振り返って、恥ずかしさのあまり枕に顔をうずめてバタバタしたくなったなんて経験は誰しもにあると思います。

 

本作の主人公である楓も、典型的なイタイ子です。「人に不用意に近づきすぎないことが信条」とか言いながら、

気がついたらどんどん秋好寿乃に(勝手に)惹かれて心奪われ、(勝手に)相手の理想像を描き、(勝手に)裏切られたと思い込み、そんな彼女が拠り所にしている「モアイ」を壊してしまおうと復讐を企てます。

清々しいほどの痛い主人公・・・こいつたぶん童貞でしょう。笑

 

青春というと、なんだか爽やかで華々しい綺羅びやかな印象をその言葉から受け取りますが、その裏側にはドロッとしたいびつな感情も伴います。

キラキラとドロドロがバランスよく青臭く配合されているのが青春時代ですが、この田端楓という主人公は、「ドロッと感」全振りのステータスを持った主人公として仕上げられています。

 

そして、この時期特有の脆い感じもなかなか。

主人公の楓は基本的に豆腐メンタルです。メンタルが弱いからこそ、自分以外の誰かと深く関わることを避けたがるし、誰かに攻撃するときも影に隠れてコソコソ攻撃します。

面と向かって人と向き合ったら、そのメンタルが粉々になってしまうのを過剰に恐れて。

 

そんな主人公の豆腐メンタルっぷりも、「青春」という言葉の裏表としてビビットに描かれています。

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青くて痛くて脆いのつまらないところ

青くて痛くて脆いのつまらないというか、個人的に合わなかった部分は、登場キャラクターのラノベ感です。

ラノベや漫画の登場人物って、基本的に「1人のキャラクターに1つの性格」が鉄則だったりします。その方がストーリーの作劇上お話しが作りやすいですし、読者や鑑賞者も作品に入り込めます。

だから、原作ならこれでいいのですが、実写映画になってしまうとそうはいきません。

 

もっとも、漫画でもキャラクターの心理描写が極めてリアルな作品もあります。

私が登場人物の描き方がリアルだなー、と思う作品は「進撃の巨人」です。

 

たとえばリヴァイは、ぶっきらぼうで乱暴な言葉遣いが目立ちますが、その実誰よりも仲間想いだったりします。

アルミンは、頭の回転が早く、窮地に置かれてはそのたび最良の解決策を思いつきますが、一方で、仲間のためならと外道な行動を取ることも少なくありません。

進撃の巨人のキャラって、「この人はどんな性格なの?」と訊かれても、一言でそれに答えるのが難しいですよね。「◯◯だけど◯◯なところもある」みたいな答え方になります。

 

一方、青くて痛くて脆いの登場キャラの性格は、わりと一言で説明できます。

「楓の性格は?→クズ」とか「秋好の性格は?→独善的」のようにです。

青くて痛くて脆いのキャラに感情移入できない理由

で、先述したように、ラノベや漫画の場合はその方がいいんです。物語の作劇上矛盾が生じないので、観ている方もスムーズに作品の世界観に入り込めますから。

(あれだけ現実にいそうな性格の登場人物を、物語の進行を邪魔することなく量産する進撃の巨人の作者は異常です。汗)

 

「あくまでストーリーを進行させるための、◯◯な役割を持ったキャラクター」くらいの分かりやすさが、とくに二次元の創作物には必要なんです。

 

ただし、その世界観をその世界観のまま実写にすると、妙な薄っぺらさを感じてしまいがちなのもまた事実。

本来、人間は矛盾のかたまりなので、性格を一言であらわすのなんてほぼ不可能です。

 

楓も、「クズはクズだけどちょっと良いところもある」とか「電車でおばあちゃんに席くらいは譲る」とか、そういうリアリティを持たせた方が、キャラの人間味を引き出すには良かったはず。

(ただしそれをやり過ぎると、ストーリーに入り込めなくなってしまうので、原作小説の段階では、あれくらい分かりやすい性格をキャラクターに持たせるで正解だったと思いますが・・・)

 

だから、原作小説を読んでいるときにはほぼ感じなかった違和感が、実写化させたときにはだいぶ感じました。

「こんなやつ現実にいるかぁ〜?」と思ってしまったんですね。

キャストの吉沢亮&杉咲花コンビが俳優さんとしてとても良かっただけに、そのキャラ描写の薄さはやや残念でした。

 

くてくての世界観を最大限に楽しむなら、やはり映画よりも原作小説を読んだ方がいいと思います。

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